机上の

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「カーアンドドライバー」11月号にトヨタのバッテリー戦略について書かれた記事があり、興味深く読みました(あまり分かっていませんが)。この記事では主にバッテリーについて語られていましたが、最近の雑誌やネット上での電気自動車に関する記事では、必ずと言っていいほど再生可能エネルギーの重要性が説かれております。で、一口に再生可能エネルギーと言っても色々あるわけですが、中でも主役級の「太陽光発電」について、私はどうしても疑問を持たざるを得ません。

日本各地には規模は様々なれど、実にたくさんの太陽光発電施設があります。例えば飛行機の中から北海道や九州の地上を眺めてみると、その数の多さに「ここまで増えたのか」と今更ながらに驚きます(海に浮かべるのはどうかと思いますが)。それらの中で、交通量の多い国道沿いなどで見られる小規模のものは、比較的綺麗でしっかり作られている場合がほとんどですが、現実にはそういう所ばかりではありません。というのも太陽光は、ある程度以上の規模になってくると人里離れた自然の中に建設されることになるのですが、その場合(本当は全て)必ず定期的なメンテナンスの必要性が出てきます。私はそれが一体どこまで実行されているのか怪しい、と考えているのです。

ブームに乗って作ったはいいが、経費節約のためその後のメンテナンスなど何も考えずに放置、結果パネルの上まで雑草は伸び放題で発電効率は低下、中にはカラスが落とした石でヒビが入っていたり、動物が上を歩き回ったとしか思えないほど粉々に破壊されたパネルがあったりします。そもそもパネルの寿命自体計算通りにはいきません。さらに言えば、ケーブル接続の不具合や試運転で見落とされた誤配線、重量のあるパワーコントローラーをボルト締結せず架台にビス止めされているものなど場合によっては数年で落下(かろうじてケーブルでぶら下がっている)、水浸しになりながらも稼働している場合、1次側2次側共に高電圧ですから、その修理には大きな危険を伴います。もちろん、太陽光発電施設の多くは厳しい品質管理の元で工事が行われていますが、自然の中に放置されるというリスクを考慮しなければ建設した意味がありません。今現在問題のある現場が何割存在するのか分かりませんが、それらも含めてもし建設実績だけで再生可能エネルギーの割合が計算され、BEVを増やしていくことになれば、遠からず「あれ?」なんてことになりはしないでしょうか。

今、橋や水道管などの社会インフラの老朽化が問題となっていますが、太陽光に限らずある種の再生可能エネルギー施設が同様の状況に陥るのは意外に早い時期ではないかと考えます。これからどのように更新していくか、すでに議論されていればいいのですが。

夜空を見上げて

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先日グーグルが、おすすめ記事だからお前読めとばかりに、オートメッセウェブというサイトの『「フレキシブルタワーバー」はまさに「コロンブスの卵」だった』という記事を紹介してくださいました。それによるとSTIフレキシブルタワーバーの分割部はピロボールジョイントになっており、縦方向の入力は反対側のストラットへの影響を抑制するが、横方向の入力は左右に伝達されるとのこと。なるほど、ピロだったんですね。私はてっきりここもダンパーなのかと思っていました。そういえば一度分割部をめくってみたのですが、小ぢんまりしすぎてダンパーには見えなかった気がする。だからあんなに硬かったんですね。いや勉強になりました。ということは、これは言ってみればダブルウィッシュボーンのアッパーアームみたいな側面もあるのでしょうか。すごく乱暴な考え方ですが。であれば厳密に言えばアッパーマウント側にも可動部が必要になりますが、何センチも動くわけじゃなし、そんなところに可動部を設けたら横方向の入力まで逃がすことになりそうだし、そこはまあいいんじゃないかということなのでしょう。

しかし前回のインプレッサスポーツに対する私の感想文は、改めて読んでみるとあれはいかんですな。大体雑誌にしろネット上の記事にしろ、ああいうものを読もうという人は、たいてい「いい話」を期待しているものです。自分が興味のあるクルマ、欲しいクルマのいい所を知りたい、なんだったら背中を押してほしいという人もいるかもしれません。それが今更「MTじゃないと」とか言ってるわけです。あまつさえSTIのパーツに「自分には、付けない方がいいかも」などと恐ろしいことも言っている。特に現代のスバリストと呼ばれる人たちにとっては、全く無意味な感想だったことでしょう。でも私は忘れられないんです。小学生の頃「走れ!四輪駆動車」という本で、レオーネ4WDという万能車を知った時の衝撃を。ニチモのレオーネを三台作って4WDの信じられないような走行性能を確認した時の喜びを。小関さんが板前の包丁と呼んだRXターボを。アルシオーネの発表会で免許も持たない中学生の私を歓待してくれた高槻スバルの皆さんを。コリン・マクレーやベルター・フィッシャーのオンボードビデオを擦り切れるほど見ながら、最高のハンドリングマシンだと今も信じるBC5で荒れた林道や雪の上を走り回った日々を。それから…。

思い出を語ればきりがありませんが、少なくとも過去のスバルは、こと走りについては中途半端な真似はしてこなかったように思います。もちろん今はそんな時代ではないことは百も承知です。それでもなお私が望むことはやはり、インプレッサSTIに6MTを、なのです。

MTがあればこのクルマは完成する インプレッサスポーツSTI (2)

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さっき近所のトヨタ店の前を通ったら、敷地中を掘り返してたんですが、そこに、どういうわけか自衛隊の3トン半が1台おりました。なんか出たんですかね。

 

まだまだ走り足りなかった私はオーナーにもう少し待ってくれとお願いしていたのですが、願いかなわずあっという間にフレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナー(フロント用)が取り付けられてしまいました。これはもう仕方ありません。とにかく走ってみることにしました。

ところでこの二つのパーツにはどういう効果があるのでしょうか。これについては、スバルユーザーには「いまさら」と怒られるかもしれませんが、スバルショップ三河安城和泉店のサイト内にある「フレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナーの実力とは。」という記事が大変参考になりました。驚くほど理路整然と分かりやすく説明されており、無知な私には大変勉強になりました。

そんなわけで、タワーバーとドロースティフナーが取り付けられたインプレッサスポーツに乗ってみたのですが、スタート直後にステアリングを切った瞬間、私は思わず「硬い」と口にしてしまいました。ごくわずかにステアリングを動かすだけで、猛烈な「硬度」としか言いようのない感覚が伝わってくるのです。ちなみにオーナーは「ステアリングが重くなった」と表現しました。もちろん多少の変化はあるにせよ、それほどステアリングの回転が重くなった、あるいは硬くなったというわけではないと思います。ただ、フロント周りから伝わる剛性感が変わったということでしょう。

ここで残念なのは一度に二つ取り付けられたことです。この時点ではおそらくタワーバーの存在が大きいとは思いますが、一本物を使っていたBC5やGC8でもこれほどの変化を感じた記憶がありません。フレキシブルと名乗るだけあり分割部にダンパーを持つ可動式なのに、この硬さは何なのでしょうか。後になって気が付いたのですが、フレキシブルとはいってもクルマへの入力を制御しようというものですから、そう簡単に動くものではないでしょう。つまり入力の小さい低速時は単純に剛性の向上が感じられるだけなのかもしれません。この領域での変化は、大きくとも重要ではないんですね。それから少しペースを上げて走ってみましたが、やはりフロントの反応は早くなりました。回頭性も上がっています。世に言われている通りです。

もし二十代の頃の私なら大喜びしたでしょう。実際スピードの向上につなげたと思います。しかし残念ながら、あらゆる部分が劣化したオヤジとなった今、この変化を素直には喜べません。なぜなら、直進安定性の変化や、カーブの進入時によりシビアなライン取りが要求されるようになったことなど、向上した応答性は「神経質で疲れる」と感じられるようになってしまったからです。正直なところ、STI標準仕様が持っていた懐の深さが失われてしまった印象です。

もちろんこれは私個人の能力の問題です。パーツの性能そのものは素晴らしいものですし、ユーザーの評価が高いからこそインプレッサにも採用されたのでしょう。STIは律儀にも、リヤ用のピロアーム(!)やフレキシブルドロースティフナーまで用意しています。しかしそのことがますます私を複雑な気持ちにさせます。

これらのパーツは、必要なければ付けなければ済むことです。しかしSTIのハンドリングが素晴らしいほど、オプションパーツが充実するほどに、私は悔しい気持ちでいっぱいになるのです。このクルマにMTがあればと。だったら「疲れる」なんて言わずに、犬のように走り回っていたに違いないのに。

色々書きましたが、インプレッサスポーツSTIが走って楽しいクルマであることは間違いありません。それは、コーナーでアクセルを踏み込むたびに頭の芯が真っ白にぶっ飛ぶような4WDターボ車とはまた違った世界ですが、どちらも「また走りたい」と、いても立ってもいられなくなることに変わりはないと思います。あっ、これ他人のクルマなんですけどね。

 

MTがあればこのクルマは完成する インプレッサスポーツSTI (1)

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現行型インプレッサスポーツSTI(FF)を運転する機会がありましたので、感想を述べたいと思います。

 

私にとってはGC8以来のスバル車(他人のクルマだけど)、しかもスバルのFFに乗るのは初めてということで、久しぶりにとてもワクワクしてしまいました。

パッと見のデザインは良いですね。GD以来、紆余曲折がありましたが、モータースポーツと決別した後にたどり着いた、この落ちついた雰囲気の中にもスポーティさを感じさせる姿には何とも言えない味わい深さがあります。こいつも次のモデルではあの「メガネを外したのび太の目」になってしまうのでしょうけど。

乗ってみます。とにかく広いという印象です。特に後席足元の余裕はかなりのもので、トランクの容積などもあわせて考えると、このクラスでは一番といっていいほど実用的なクルマであるという話にも納得がいきます。運転席に座ってみると、Aピラー付近の見切りは良いしインパネ周りの姿もかっこいい。ステアリングも、ありふれた形状ではあるもののシルバーメッキの無いマットな雰囲気、そして握り心地も含めて非常にいい感じです。シートは電動式で無段階調整できるのはありがたいのですが、「3ノッチ目がベスト」といった決め打ち(妥協)ができない分、実は位置決めに迷ってしまいました。

ところでアイサイト(Xではありません)などの運転支援装置に関しては、正直言って浦島太郎状態ですので、すべて「すごい、よくできてる」としか言えません。ごめんなさい。

次にエンジンをかけます。実は納車時すでにマフラーのみSTIセンター出しに交換されていました。見た目、ノーマルとは比較にならないぐらいかっこよくなっていますが、エンジンをかけた瞬間少し甲高い爆音をたてるのでちょっとびっくりします。ただしアイドリングが落ちるとすぐに静かで乾いた音に変化するので、あまり心配はいりません。本当はもっと音量を抑えたかったはずですが、それでは狙った性能が出ない。見てくれだけのアクセサリーを作っているわけではないSTIの真面目さを感じ、好感が持てました。

ミッションはCVT。マニュアルの設定はありません。Dレンジに入れて走り出します。カックンブレーキですが慣れるしかありません。真っ直ぐな道ではやや直進安定性が気になりますが、おそらくSTIだからでしょう。そして、しばらく走った所で私は呆然としました。「なんだこのミッションは‥」。

このCVTの「極低速時のギクシャク感」については、私が知らなかっただけで何年も前からスバルユーザーの間で問題視されていたようです。詳しい事情はわからないので、あくまで感覚的な話ですが、燃費最優先のプログラムがエンジンやミッションの連携に悪影響を及ぼしている気がします。トルコンATならここまではならなかったでしょう。プログラムを書き換えるにしても大幅に燃費を落とすわけにもいかない。だとすればですがこれは設計段階から抱える問題であり、何年も引きずるわけです。

ただし、この現象はエアコンのコンプレッサーが回っていなければ軽減されますし、うまくいなすようなアクセルワークを行っても然りです。3000キロほど走ったところでやや変化も現れてきました。さらに言えば、この後他メーカーのCVT車両数台を運転する機会がありましたが、どれも似たり寄ったりでしたし、ある程度は仕方ない事と言えるでしょう。ただ私は、会社が立ち上がったその日から飽くことなく高性能を追求し続け、それがここまで万人に認められるようになったスバルが、なぜこのようなミッションを載せているのかと、それが悔しくてならなかったのです。

可能かどうかは別として、一番の解決策は6速MTを載せることでしょう。もちろん私が若い頃とは違い、今どきのクルマはATの方があらゆる面で優れていることは分かります。しかしこのCVTを使うぐらいなら、きちんとクロスしたMTの方が明らかに低速からスムーズに走れるし、燃費も向上するはずです。そして速く走れる。スイフトスポーツがよい例ですね。その選択肢が欲しかったということです。

とはいえこれは極低回転域の問題で、高回転域を使って走ることを重視するSTIユーザーにはCVTでもいいのではないか、という意見もあるかもしれません。でも、そうもいかないのです。ハンドリングが素晴らしいからです。

フロントダンパーは専用開発、リヤダンパーはノーマルをチューンしたもの、とされています。その設定はやや硬めですがボディ剛性が高いため、凹凸はただの凹凸としてシンプルに感じられるだけです。カーブの入り口でステアリングを切り込むと、低重心のボクサーエンジンのメリットをよく生かし、すかさずフロントが向きを変えてゆきます。それは決して演出過剰の軽快さではなく、しっかり地に足をつけて曲がりこんでゆく感覚で、ドライバーの意識とシンクロして思った方向にクルマが向かっていきます。まるで「こう切ればこう曲がるんだよ」と、クルマが教えてくれているようです。タイヤもいいですね。扱いやすい。そしてフロントが回り込んだ瞬間後輪が素直に追随していきます。もしかしたらこれをワンテンポ遅れるように感じる人もいるかもしれませんが、FFですし、私はフロントの反応が早いせいだと思っています。ちなみにボンネットはアルミ製。今はこういう普通のクルマもアルミなんですな。ブレーキに関しても、まだ長時間走りこんでいないので断言できませんが、私ぐらいのペースなら十分な性能です。

このように、インプレッサスポーツSTIは開発の方が主張するとおりの性能を持つ素晴らしいクルマです。面白いことにインプレッサを運転した翌日、仕事で自分のクルマに乗った時、いつも苦手にしているカーブを難なく曲がっていくことができました。このことから、私のように走らせ方を忘れてしまった人間にもその楽しさを思い出させてくれる、そんなクルマではないかという気がします。

だからこそ、ハンドリングの素晴らしさが理解できるほどに、CVTのもどかしさが残念でならなくなるのです。いくらパドルシフトを活用して高回転域を使ったとしても、やはり特有のラバーバンド感は消えるわけではありません。さらに、この車体サイズで燃費重視のNAエンジンである事が拍車をかけます。そう、もともと現行インプレッサはスポーツ走行とはかけ離れたクルマなのです。なのにSTIが設定されてしまった。だからMTが必要なのです。速く走るためではなく、より操る楽しさを得るために。こういうのをジレンマというのでしょうか。

そして、まだまだ走りこみたいと思っていた矢先、タワーバーとドロースティフナー(フロント)が取り付けられてしまいました。私はさらに悩むことになります。

 

何のための更新なのか

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昨日、久しぶりにバイクに乗ってツーリングに出かけました。一人で淡々と走って、人の少ない休憩所や道の駅で缶コーヒーなんか飲んで帰ってくるようなツーリングですので、ちょっと寂しいですが時代に即した趣味ではあると思います。

さて、出発して間もなく、クルマの列について走っていた時です。すぐ前を走るヤリスが蛇行していることに気が付きました。時に路側帯やセンターラインを踏み越えるほど左右にふらつき、左カーブですら対向車線にはみ出していきます。最初は、早朝ということもあり居眠りかと思いましたが、速度は比較的安定しているのです。居眠り運転ならスピードが上下するし、車線の中央に戻る時も、もっと急ハンドルです。首もふらつかず前を向いているからスマホでもない。となると朝っぱらからの飲酒運転かと恐怖を感じ、信号待ちの時ドライバーの様子をうかがってみました。よくは見えなかったのですが高齢の女性で、ハンドルの上の方をしっかり握り、かなりの前傾姿勢で余裕のない雰囲気でした。もともと苦手なうえ加齢の影響もあって、そのような運転をしていたのかもしれません。

もし本当に居眠りでも飲酒でも「ながら」でもなく、あれが普通の状態だとすれば、そのドライバーはクルマのハンドルを握っている間中、いついかなる時も危険走行をしていることになります。ある意味一番恐ろしいドライバーと言えますが、かと言ってこの方を責めることは私にはできません。K県も他の多くの地方と同じくクルマ社会です。一部地域を除いて、クルマが無ければ生活ができない。このような人たちから簡単に免許を取り上げることはできないのが現実なのです。

考えてみれば、受講者自身が自虐的に笑いの種にするほど「優しい」免許更新を行ってもらえることは、ありがたい話なのかもしれません。しかし、このまま行けば、今はどういうわけか議論に上っていませんが、いずれ貸与する側の責任が問われることになることでしょう。高齢ドライバーだけに限った話ではなく、です。それまでに全自動化が間に合うなら別ですけど。

 

ところで、私はMBSラジオ「ええなぁ」のファンなのですが、何の偶然か、ツイッターを拝見すると「助手席での居眠り」が話題に上っており、アンケートまで取られておりました。それによると居眠りかまへんやん、という人の方が多いようです。なんか安心しました。