職人とクルマ

f:id:higasikaze:20201217204559j:plain

地球温暖化が待った無しということで世界中が大急ぎでガソリンを燃やして走るクルマからEVへと一斉に移行を始めました。日本も2030年代半ばに新車販売は全てハイブリッドかEVでなければならなくなる、と聞きました。
EVを運行する上でよく問題視されるのが、航続距離と充電インフラです。自動車評論家の国沢光宏さんは今航続距離がどれくらい、バッテリー寿命はこのぐらい、進化の具合がこんな感じでいついつEV社会が到来~、と分かりやすく説明して下さります。用途が通常の通勤やドライブならそれでいいでしょう。しかし私が気にするのは現場仕事の職人さんの足としてはどうなのかということです。
建物の建設現場にしろ道路工事や土木にしろ、職人達はたいていの場合車で集まってきます。そして一仕事終え休憩時間がやってくると、多くの場合自分が乗ってきた車に戻ります。大きな現場なら休憩所も用意されてはいますが、それだけ作業員の数も多いということになるので、密を避けるためにもやはり車を利用する人が一定数います。その時、たいていエンジンをかけアイドリングをするのです。
それが決していいことではないのは皆分かっています。しかしながら春、秋といった気候の良い時期は別として、体を休めるためにも冷暖房はどうしても必要となるのです。
よく自動車評論家の方がEVバラ色の未来の理由に再生可能エネルギーの割合増加を口にされますが、その一つである太陽光発電の設置現場の多くは人里離れた土地で、ろくに水も電源も日陰も確保できず、雨が続けば泥の海といった過酷な現場も数知れずです。真夏ともなれば、例えば昨夏、北海道の現場でさえ熱中症寸前の灼熱地獄でした。まあ慣れれば何とかなりますが、移動距離もありますし、そんな状況の現場にEVで行けと言われてもごめんです。
つまりe-fuelが普及しないかぎり、十数年後残された選択肢はハイブリッドか中古車となりますが、どちらも価格(税金も)が高騰する恐れがあると私は思っています。
皆そんなに裕福じゃない。それまでに現場仕事に耐えうる、高性能で安価なEVが販売されるといいなと思います。