スリーダイヤの輝き

 

f:id:higasikaze:20201220230653j:plain

 なにしろクルマ社会ですから、通勤時間帯は言うに及ばず、日曜日の真っ昼間もこの小さな町の主要な道路は判で押したようにクルマであふれかえり、混沌とした状況に陥ります。

それだけクルマの数が多いだけあって狭い町にディーラーは乱立、どこもそれなりに忙しそうではありますが、すべての店舗が同じというわけにはいかないようです。

 私の住む借家のすぐ近くに小さな三菱自動車のディーラーが一軒あります。片側一車線で、狭いが観光地に行き来しやすい国道沿いにあり特に不便な場所というわけでもないのですが、いつも少し寂しげです。私は夕方などに徒歩でこのお店の前を通る事もあり、ロビー入り口の前に1台だけ置かれたしかし最新の展示車両の奥で、清掃や事務処理を静かにこなす社員の方々の姿が見えます。

この辺りは売れ筋の軽自動車についてはスズキやダイハツが強いらしく、三菱自動車は苦戦しているのかもしれません。しかしです。その三菱車が、時にトヨいや違った他社のクルマなど相手にしないほど素晴らしい性能をもっていることを、私はいやというほど知っています。なぜなら私はスバルに乗っていたからです。

 

かつてインプレッサとランサーは宿命のライバルとして世間を賑わせておりました。確かに数値上はライバル関係と呼ぶにふさわしいものだったかもしれません。しかし実際のところ少なくとも最初の数年について言えば、ランサーの圧勝でした。例えば国内のラリーやダートラにおいては、有力なショップと化け物みたいなドライバーが覇を競いあう全日本は別として、地区戦やジュニア戦では明らかにランサーが有利で、フロントデフを入れてアンダーを軽減したGCであっても対等とは言えませんでした。

やはり何より大きな差をもたらしていたのは4G63の存在でしょう。圧倒的なパワーでした。そういえば先輩が「非力なインプレッサで勝つことにロマンがあるんじゃないか」と言って笑っていましたが、そりゃあなたぐらいの腕があればそういう楽しみもあるだろうけど、などと心の中で思ったものです。

さらに付け加えるなら、2輪駆動でもMIVECミラージュが猛威を振るっていました。とにかく三菱車は速かったのです。

ところでこのパワー差は、世界戦であるGr.Nにも同様の影響を及ぼしていたようです。なにしろ神岡政夫さんがテレビ番組の本番中にそのことをぽろっと言ってしまい、スタジオを凍り付かせたのだから。

あれは面白かったな。

 

私は展示されているエクリプスを見て、これはいいクルマだなあと、しばし眺めてしまいました。パッと見てビビッと来たら間違いない。絶対良いクルマです。いい加減なことを言うなと怒られそうですが、こういう時のクルマ(バイク)は必ず最高の相棒になってくれます。それだけに、私にもっと経済力があればなあ…と情けない気持ちになります。

三菱自動車は、他のメーカー以上に何かと大変な時期にあるようです。だとしても、あなた方が販売、メンテナンスするそのクルマは世界最高峰の技術によって作られていることを忘れないでください。どうかその誇りを胸に戦い続けてください。私は宝くじを買いに行ってきます。