考え方 5

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どちらか一方ではなく

 最近、九州自動車道(高速道路)を何度か走る機会がありました。その時点では所々路面の補修工事などが行われており、通常二車線あるところが、工事区間では一車線に制限されていました。
 さて、その工事区間が近づくと「50km」の臨時規制標識が現れます。パイロンだけで区切られた隣の車線内で、生身の人間が作業しているわけですから当然です。
 しかし、残念ながら本当に50kmまで減速すれば間違いなく後続車に追突されますので、減速できる範囲は限られます。おそらく、この標識を作った方もそれは承知の上でしょう。
 私はどうするかというと、後続車の様子を見ながら50kmとまではいかなくても、できる限り車速を落とすよう努力します。たいていの場合、後続車に車速に見合わない距離まで接近されます。中にはあからさまにあおってくるトラックなどもいます。
 この状況をあなたはどう思いますか。「だらだら走るやつが悪い」と思いますか。
 十数年前、近畿自動車道を走行中にクルマが故障し、私は仕方なく路肩に停車しました。自分がクルマの整備を怠ったことが原因でした。本来こういう場合は発煙筒などを置きに行き、可能なら退避しなければなりません。しかしすぐ横を100km前後でクルマがすっ飛んでいくのが恐ろしく、JAFさんが救助に来てくれるまで車内で待つことにしたのですが、車内にいてもその恐怖心が和らぐことはありませんでした。
 しばらくのち2台のJAF号が現れ、何とか無事にけん引していただいたのですが、その時のお話では、こういった高速道路上の救助作業では隊員の死亡事故が発生する時もあるとのことでした。当時の私はそんなことを考えもせずクルマを故障させたのです。ほんとに情けない話です。 
 言うまでもなく工事作業者の皆さんだって、JAF隊員と同じように危険にさらされながら仕事をされています。自分のすぐ横を、ろくに減速もせず走り抜けてゆくクルマを見て、どのように感じておられるでしょうか。
 もちろん彼らにしても安全ベストや表示灯などで身を守ろうとはされていますが、利用者である我々も協力しなければなりません。安全は片方の意識だけでは成り立たないのです。
 そもそも、あの人たちがいるから快適に走ることができるということを、みんな忘れているのでしょうか。

 

 想像力の欠如

  この件における一番の問題は「想像力の欠如」です。これは大きな問題です。なぜなら「予測」も想像力が無ければできないからです。現代人が今一番失いつつある重要なものが想像力であると私は思っています。今の世の中「面白いもの」であふれかえっており、ただ口を大きく開けていればおいしいものがたくさん流れ込んできます。当然ながら想像力(創造力)は退化し、それを利用して儲ける人は儲けます。話が脱線しました。
 だから、自動車評論家の皆さんにはもっとこういう話をしていただきたいと思います。もちろん全くされていないとは思いませんが、足りません。

  これから先あなたが高速道路を走るようになったとき、単に「スピードが出せる道」と考えないようにしてもらえたらいいなと思い、このような話をさせてもらいました。

  ところでもうすぐ登場するレジェンドは、こんな時大丈夫なのかな。