考え方 6

交通法規について少しばかり考えたいと思います。

 

 最高規制速度の不思議

  標識に書かれている規制速度は、言うまでもなく守らなければなりません。それはそうなんですけど、広くて人家が無くて見通しの良い田舎の国道と、曲がりくねった市街地の道路が同じ規制速度などという状況を見ていると、何を基準に決めているのだろうと不思議な気分になります。聞くところによると、それぞれの現場状況に応じた補正を進めてはいるらしいので、いつの日か誰にとってもより理解しやすい数字となっていくのでしょう。知らんけど。
 それはそれとして、私が気にするのは世の中「スピードを出すことが危険」という考え方にとらわれすぎていないか、ということです。
 例えばある高速道路で、80kmで走行しているクルマが二台いるとします。一台のドライバーはそこから加速して100kmで走り続けられるだけの余裕がある。しかしもう一台のドライバーは80kmで走行するのが精いっぱいだとしたら、見かけは同じ80kmという速度でも全く意味が違ってきます。
 多くのクルマはまだドライバーがコントロールしなければならない乗り物です。重要なのは、常に自分のドライビングの限界を意識し、危険だと感じたらそれに対処する必要があるということです。人間ですから、つい自分を過信して無理な運転をしてしまう時もあります。そんな時、心の中から発せられる「警報」に耳を傾けられる余裕を持っていただけたら、と思うのです。これがなかなか難しいんですけどね。

 

 踏切

  踏切では一旦停止。これも重要な決め事です。これだけは何が何でも守らなければならないと私は思っています(これだけはとか言っちゃまずいか)。
 約十年前のある日、一仕事終えた私は職場の後輩が運転する社用車の助手席に乗っておりました。助手席というのは気楽でいいもんです。さて会社まであと少しというところで遮断機の開いた静かな踏切に差し掛かかりました。その時私たちのすぐ前を一台のクルマが走っていたのですが、そのドライバーが実に慎重な運転をする方で、踏切手前でしっかりと停車し、じっくり左右を確認した後、ゆっくりと動き出すという教習中かと思えるような運転を披露されたのです。するとその姿をいらいらしながら後ろで見ていた後輩は、たまりかねて「そんながっつり止まらんでええねん!」と車内で大声をあげました。その様子が面白くて私は笑ってしまいましたが、この一件、あなたはどう思いますか。
 後輩にしてみれば、おそらく「警察も見ていないのに」という気持ちがあったはずです。だからしっかり止まらなくていいんだ、という言葉が出たのでしょう。しかし、警察官が見ていようがいまいが、関係ありません。もっと言うと、私には道路交通法もこれについてはどうでもいいことです。信号のない踏切では必ず一旦停止する。最も重要な目的は、電車が本当に来ていないか確認するため、です。
 踏切の設備は機械です。人間が作った機械である以上、どうしたって故障する危険があります。走行する電車の持つ運動エネルギーは想像を絶するものであり、もし万が一、何らかの不具合に気が付かず事故につながったら、どんな丈夫なボディを持つクルマでもひとたまりもありません。用心するに越したことはないのです。
 そういった考えで運転していますので、信号のある踏切はとても恐ろしく、青だと停車する必要がないという決まりは正直言って理解できません。もちろん流れに乗って通過しますが、本当は止まって左右を確認したいのです。
 踏切がどういう所なのか。このことを常に心に留めておいても損はないと考えます。