操作について 5

・ステアリング 1

 曲がる、ということについて考えてみます。
 話を戻すようで申し訳ないのですが、ドライビングポジションはどのように決められていますか。もちろん教習所で教わった通りでいいと思いますが、ペダル類はもとより、ステアリングホイール(以下ハンドル)までの距離は特に重視してください。大きく切ったときに上体がシートから離れるようだと、緊急時に切り遅れる恐れがあります。近すぎると、軽自動車など室内幅が狭いクルマでは、やはり素早く切ろうとした時に肘がドアの内張に接触してしまうことがあります。かなり痛いです。ペダルとの位置関係もありますから、チルトやテレスコピック機能があれば、必ず試してみてください。
 ハンドルを握る位置は好きなところで構わないと思うのですが、あまりギュッと握りこむのはよくありません。常に、持ち変えることを前提としてください。その昔、田嶋伸博さんが著書の中で「例えるならドラムスティックを持つように」とおっしゃっていたのですが、余計分からなくなったことを覚えてます。あの人、ドラムを演奏されるんですかね。

 交差点など

 免許取りたての人が右折するのが怖くて左折を繰り返しながら目的地に向かった、という話を聞いたことがありますが、笑えません。私もそうでした。左折は左折で怖いところもあるし、何とかならないか模索してみましょう。
 何より重要なのは安全確認ですが、これも教わったことをしっかり守り、細心の注意を払って行えばよいと思いますので、ここでは単純に操作についてだけ考えます。そこに余裕ができれば、安全確認に意識をより振り分けられる可能性があります。
 まずは左折です。左折は右折より短い時間で、より大きな操作、安全確認を行う必要がある上、道幅や角度に大きく影響を受けますので、苦手な人が多いのかもしれません。例えば、よく見かけるのが大きく右にクルマを振ってから左折(以下蛇行左折)するケースです。おそらく狭い交差路(T字路など)で左側面をぶつけるのが怖くて繰り返すうち、癖になってしまったのでしょう。ちなみに右折でもこれをやる人がいます。本当です。対向車線にはみだしてまで振る人は別として(こちらも実際にいます)特に危険な行為とも思えませんが、教習所では左折時はなるべく左に寄せるように指導されますので、ちょっと掘り下げてみましょう。
 どうしても右に振らなければ曲がり切れない場合はともかく、無駄な蛇行左折を防ぐには、これから進入しようとする道に対する適切なアプローチを知ることが大事です。もちろん初めて曲がる道なら分かりにくい時もあると思いますが、それでも方法はあります。まずはしっかりと減速することです。慣れてくると、これを忘れてしまいがちなのです。
 蛇行左折をみていると、判で押したように急ハンドルです。荷重移動による右前輪のコーナリングフォース増大を狙っているなら分からないでもありませんが、デメリットが勝ります。もう少しだけゆっくり近づいて目測の時間をとってやれば、狭く見える道でも意外なぐらい左寄せで曲がれる時があります。教習所の、S字やクランクの入り口がそうでしたね。もし、離れた位置から見ても明らかに難しそうな様子でしたら、早めに少しずつ右に寄るのがいいかと思います(右折と勘違いされないようにウィンカーも早めに)。
 ところで「ゆっくり」にはもう一つ重要な点があります。それは「ある位置におけるハンドルを切る時間」を稼ぎ出すことです。最も左側に寄る地点で最も速度を落とし、そこで大きくクルマの向きを変える。よく考えれば教習所でみんなやってきたことなのですが、やっぱり忘れてしまうんですね。

※追記

 ドライビングポジションに関して、大事なことを書き忘れていました。それは、ヘッドレストについてです。ヘッドレストは、いざという時に頚椎を守る、非常に重要な部品です。上下に動かせる場合、必ず頭部の適正位置に合わせてください。
 かつては軽ワンボックスのリヤシートなど、はなからヘッドレストが付いていないクルマもありましたが、コストダウンかなんか知らんがシートを置くならヘッドレストは絶対だろう、と私は思うのです。