分かれ道

池袋暴走事故に関して、トヨタが初めてコメントを出したと聞いて少し驚きました。それだけ慎重に調査していたのでしょう。

最近はペダルの踏み間違いによる事故を減らすため、急発進(誤発進)抑制装置などが普及してきました。しかしそれらは作動条件がある範囲に限られている事、本当に急発進が必要な時に危険回避ができない恐れがある、といった問題点もあります。そこでカメラやレーダーなどによる周囲の状況の捕捉が重要となるわけで、これらすべての機能が連携することで効果がより高まると考えます。
が、これも過渡期の考え方でしかありません。
十年近く前の話ですが、クルマの自動運転化へ向けての一過程として、周囲のクルマとオンラインで連携できないものかと考えました。これは、離合の激しい阪神高速を毎日走っていて、死角の恐ろしさを嫌というほど体験していたからです。死角にクルマが入った時、「互いの」運転席のモニターに表示されれば、どれだけ危険を低減できることでしょうか。
しかしその後、自動車メーカーはもっと手っ取り早く現実的な方法で対処しました。サイドミラーに何らかの表示を行う機能です。これは本当に素晴らしい装備で、バックモニターと同じぐらい標準化すべきものだと私は思っています。
ただ、この死角の問題で、特に注目すべきは「入った」側なのです。なぜなら「入られた」側は気づかない時があるとしても、「入った」側は考えをめぐらせればすぐに分かることだからです。つまり状況をよりコントロールできるのは「入った」あるいは「入ろうとしている」側ということであり、気が付かなかったでは済まされないその重要性から、さきほど「互いの」と書きました。これもまた、「予測」の一部なのです。
やがて自動運転化が進むにつれ、このサイドミラーも消えてなくなることでしょう。安全な運航を確保するため、やはり周囲のクルマと何らかの手段で通信し、連携することになります。なぜならその機能は、歩行者や自転車に対しても応用が可能だからです。今やみんな同じものを持っているのですから。
いつの日か、全能の存在がすべてをコントロールすることになるでしょう。まずは静岡から始まるかもしれません。 

「アクセルペダルが床に張り付いているように見えた」。
これほど何が起こったか誰の目にも明らかな状況で、罪に問われることなく終わるのか。日本という国家のあり方そのものが問われているような気がします。