MTがあればこのクルマは完成する インプレッサスポーツSTI (2)

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さっき近所のトヨタ店の前を通ったら、敷地中を掘り返してたんですが、そこに、どういうわけか自衛隊の3トン半が1台おりました。なんか出たんですかね。

 

まだまだ走り足りなかった私はオーナーにもう少し待ってくれとお願いしていたのですが、願いかなわずあっという間にフレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナー(フロント用)が取り付けられてしまいました。これはもう仕方ありません。とにかく走ってみることにしました。

ところでこの二つのパーツにはどういう効果があるのでしょうか。これについては、スバルユーザーには「いまさら」と怒られるかもしれませんが、スバルショップ三河安城和泉店のサイト内にある「フレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナーの実力とは。」という記事が大変参考になりました。驚くほど理路整然と分かりやすく説明されており、無知な私には大変勉強になりました。

そんなわけで、タワーバーとドロースティフナーが取り付けられたインプレッサスポーツに乗ってみたのですが、スタート直後にステアリングを切った瞬間、私は思わず「硬い」と口にしてしまいました。ごくわずかにステアリングを動かすだけで、猛烈な「硬度」としか言いようのない感覚が伝わってくるのです。ちなみにオーナーは「ステアリングが重くなった」と表現しました。もちろん多少の変化はあるにせよ、それほどステアリングの回転が重くなった、あるいは硬くなったというわけではないと思います。ただ、フロント周りから伝わる剛性感が変わったということでしょう。

ここで残念なのは一度に二つ取り付けられたことです。この時点ではおそらくタワーバーの存在が大きいとは思いますが、一本物を使っていたBC5やGC8でもこれほどの変化を感じた記憶がありません。フレキシブルと名乗るだけあり分割部にダンパーを持つ可動式なのに、この硬さは何なのでしょうか。後になって気が付いたのですが、フレキシブルとはいってもクルマへの入力を制御しようというものですから、そう簡単に動くものではないでしょう。つまり入力の小さい低速時は単純に剛性の向上が感じられるだけなのかもしれません。この領域での変化は、大きくとも重要ではないんですね。それから少しペースを上げて走ってみましたが、やはりフロントの反応は早くなりました。回頭性も上がっています。世に言われている通りです。

もし二十代の頃の私なら大喜びしたでしょう。実際スピードの向上につなげたと思います。しかし残念ながら、あらゆる部分が劣化したオヤジとなった今、この変化を素直には喜べません。なぜなら、直進安定性の変化や、カーブの進入時によりシビアなライン取りが要求されるようになったことなど、向上した応答性は「神経質で疲れる」と感じられるようになってしまったからです。正直なところ、STI標準仕様が持っていた懐の深さが失われてしまった印象です。

もちろんこれは私個人の能力の問題です。パーツの性能そのものは素晴らしいものですし、ユーザーの評価が高いからこそインプレッサにも採用されたのでしょう。STIは律儀にも、リヤ用のピロアーム(!)やフレキシブルドロースティフナーまで用意しています。しかしそのことがますます私を複雑な気持ちにさせます。

これらのパーツは、必要なければ付けなければ済むことです。しかしSTIのハンドリングが素晴らしいほど、オプションパーツが充実するほどに、私は悔しい気持ちでいっぱいになるのです。このクルマにMTがあればと。だったら「疲れる」なんて言わずに、犬のように走り回っていたに違いないのに。

色々書きましたが、インプレッサスポーツSTIが走って楽しいクルマであることは間違いありません。それは、コーナーでアクセルを踏み込むたびに頭の芯が真っ白にぶっ飛ぶような4WDターボ車とはまた違った世界ですが、どちらも「また走りたい」と、いても立ってもいられなくなることに変わりはないと思います。あっ、これ他人のクルマなんですけどね。