なんで金田のバイクに似てくるんだろう


国沢光宏さんの公式サイトで紹介されていた、ホンダの「自立する二輪バイク」の映像を見て驚きました。かなり前から開発されている技術ですが詳しくは知らなかったため、あらためて感心してしまいました。

何より驚いたのはその構造です。静止中はバランスをとるために前輪あたりがゆらゆら動くのかと思ったのですが、動画を見る限り全然そんな様子はありません。不思議に思って見ていると、映像の後半で少し大げさに動いて披露してくれるのですが、リヤのスイングアームピボット部がバンク方向にも回転(実際にはもっと三次元的な運動でしょうが)するようになっている。つまり車体各部でバランスをとる動作を分担しているのですね。でまた、かっこいいんですよこの動きが。ロボット的というか。姿かたちは変わっても、そこにASIMOの面影が感じられると言ったら、大げさでしょうか。この点、ヤマハがバイクに人型ロボットを乗せて操作させているのと比べてみると面白いですね。この調子だと実車を目の前にすると少なからず感情移入してしまいそうで、自立中に指でツンと押してやったら多分一瞬傾いてすぐに元に戻ると思うのですが、その時私は「ごめん、悪気はなかった」と謝ってしまうだろうなあ。

このような構造は一見複雑に見えますが、インホイールモーター式のバイクであればより簡単に取り入れることができるでしょうから、電動化とセットで自立型バイクは急速に普及することになるでしょう。気になるのはこの機能がどのように介入するのか、です。バイクは基本的に倒れることで走る乗り物であり、まっすぐ走っている時でさえ前輪が細かく左右に切れてバランスを保っています。コーナリング中にライダーの感覚に合わない介入をされると少しばかり困ったことになりかねません。とはいえABSやトラコンが、スーパースポーツをサーキットで自在に操れるほどのライダーにも必要とされるほどに進化した現代に、そのような心配は大きなお世話かもしれません。きっとそれらと連携して、より転倒しにくいバイクが出来上がっていくことでしょう。

実際にこの機能が一般化したときに、私のような普通のバイク乗りにとって最も役立ちそうな場面は、駐輪場の出入りなどの取り回し、渋滞時や赤信号で停車する瞬間など極低速走行を強いられる時などでしょうか。何しろ立ちゴケの心配がいらなくなるのですから言うことなしなのですが、最近体力の低下を痛感し、大型バイクを手放してしまった私としては少々複雑な気持ちではあります。うーん。

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ヤマハが目指すもの。走ってみると拍子抜けするほど普通だった