さすがは、スズキ 2

トヨタ車はレトロですね。初代ミライは「UFO戦士ダイアポロン」そっくりだったし、先代までのカムリは「トイストーリー」の悪者ロボットザーグ、GRヤリスは「ロボコップ」のED209、一時アニメ的と言われたプリウスも、アニメにしたって80年代テイストだったし、今度のクラウンも、子供の頃読んだ図鑑に登場する未来のスーパーカーみたいで懐かしい。昭和生まれの私には刺さりますな。

ハンドリングは、正直あまり良いとは言えません。具体的に言うと、切り始めた直後に、ややこじるような手ごたえが発生する領域があります。おそらく強めのキャスター角によるものと思われますが、これにより、ハンドルを回す手ごたえに「波」があるように感じてしまうのです。実際その領域でハンドルを握る力を弱めてみますと、「ガクン」と急激に戻ろうとします。以前借りたワゴンRもまったく同様で、走り出してすぐ最初のカーブでアンダーを出してしまい、ちょっとドキッとしたことがありました。これはまあ、台車のコマかとつっこみたくなるほど素直に向きを変える自分のクルマの前輪に慣れているせいかもしれませんが。
今のクルマはこういうものだと言われればそれまでですが、交差点などで大きく切り、戻しをする場面では、操作の仕方によってはギクシャクした動きにつながりかねません。例えば切ったハンドルを戻すとき、力を緩めて手のひらの中でクルクルっと回す、いわゆるセルフステアリングを利用する癖がある人は、この「波」によって走行ラインのふらつきを起こします。私がやらかしました(とはいえこの操作方法を否定するつもりはありません)。ちゃんと手を添えて戻すにしても、回転トルクの変動に合わせて回すのは簡単ではないし、まして前輪を駆動しているわけですから、加減速が加われば余計難しくなります。特に右左折しながら急いで合流しようとするときなど蛇行に陥りやすく、基本通り、合流前にしっかり安全を確保することがより重要となります。
それにしても、様々な制約の中で設計された結果なのでしょうから文句を言ってはいけないのかもしれませんが、昔のFFに逆戻りしてしまったようで、なんか…ねえ。ドライバーの高齢化が進む中、決して安全とは言えない方向ではあると思います。
ただし、これはあくまで参考までに追記しますが、狭く曲がりくねった下りの山道をそれなりのペースで走りますと、この不自然さは影を潜めます。おそらく、フロントのサスストロークが縮められやすい状況だからだと思われます。
次にブレーキについてですが、意外にもカックンではなく、それどころかやや弱めに感じられました。回生ありきということなのでしょう(ワゴンRはもう少し効いたような気がしますが)。確かに、アクセルオフで回生動作による減速が始まるため、不便はありません。ただしここにも問題があります。減速が進み、停止直前あたりまできたとき、この回生制御が「カクン」と途切れます。するとその一瞬クルマが加速したような感覚に陥り、あわててフットブレーキを強めるため、結果ギクシャクした制動となります。特に私のように早めに緩くブレーキをかけ、なだらかな上り坂で止まっていくようなイメージで制動するタイプは、このようになりがちです。なので、この制御が切れる瞬間に停止できるように、メリハリよくサッと止まる方がまだましかもしれません。とはいえ、渋滞時など比較的ゆっくり走行している場面では、結構頻発します。もしかしたら強弱の調整があったのかもしれませんが、このあたりの構造も根本的な改良を望みたいところです。
運転支援装置について。いまやこのような軽自動車にも先行車追従型クルコンが付いているんですねえ。ほんと私は浦島太郎です。一度、かなり流れの悪い国道でこれを試しているとき、左側のコンビニからの強引な合流によって先行車が急停車したことがあったのですが、どうするのかと思って何もせずに見ていたら、即座に減速開始。全く安全な距離で停車し、その後、何事もなかったように走り始めました。まるで割り込みを見ていたかのような、ドライバーの感覚に非常に近い制動に驚きました。私個人としてはアイサイトより自分の感性に近い動きと感じられ、「これは信用できる」と思いました。
最後に。借りた時に表示されていた平均燃費は18.5km/l。リセットの仕方がわからず、そのまま往復150キロの通勤を中心に数日走った後の数値は、18.6km/lでした。

先代よりかっこよくなったし、いいクルマだと思います。4WDの車高を10mmほど上げて、オープンカントリーなんか履かせたら楽しそうですね。もう、みんなやってるか。