カー・アンド・ドライバーと私

少し前に発売された「カー・アンド・ドライバー」11月号は、巻末の岡崎宏司さんのコラムによると44周年号とのこと。44年!同紙の一ファンである自分にとっても、感慨深いものがあります。

記憶にある一番古い「カー・アンド・ドライバー」は、巻頭にアメリカで発表されたばかりの「スバルXTクーペ」の特集記事が組まれた号で、表紙に描かれた青いXTクーペの美しい姿をなんとなく憶えています(そういえばアルシオーネ発表会の時の私は、中学生ではなく高校生でした)。当時は月2回刊行されており、発売日には、取り寄せをお願いしていた近所の小さな本屋さんに飛んで行ったものです。

岡並木さんや、島田荘司さんの文章に初めて触れたのも「カー・アンド・ドライバー」で、特に、当時は全く読んだことが無かった島田さんの推理小説には、後年どっぷりはまることになりました。

一番印象に残っている記事は、岡崎さんの試乗記(たしか911だったと思う)です。繊細なアクセルコントロールを行う方法として、なんと「靴の中で足の指を曲げる」操作を紹介されていました。通常アクセルペダルの操作は、主に足首を動かして行うものですが、そうではなく足の指の動きだけでペダルを操作しようという、まさにミリ単位のコントロール法。いたく感心した私は、当然免許取得後すぐに実行してみましたが、まったくできませんでした。

さて現代の「カー・アンド・ドライバー」、残念ながら試乗記に関しては毒にも薬にもならないものばかりで、言葉は悪いけど、一種のカタログ雑誌として読むべきものかと思います。ただし、その反動と言っていいのか「ドライバーズ・インフォメーション」のページがこれまた、なかなかの踏み込みっぷりで、読みながら毎回ヒヤヒヤしています。このギャップは何なんですかね。

いずれにせよ、この今という自動車界激震の時代、ただただクルマが好きだった少年の頃の思い出がいっぱい詰まった「カー・アンド・ドライバー」が、今後も末永く出版されることを願うばかりです。