さすがは、スズキ

私が住む町には、なぜか暴走族がたくさんいます。昼夜問わず、毎日のように老人と動物ばかりのこの町を旧車で走り回る彼らの姿を見かけるたび、私はなんだか懐かしい気持ちでいっぱいになります。そんな彼らに対して、ちょっと気になることがあります。先日クルマで出かけた折、家の近所の、国道との交差点で赤信号に引っかかったのですが、族車が一台、先に信号待ちをしておりました。彼は私がぴったり後ろに停まったのを見て、これまたなぜか興奮し、けたたましく空ぶかしを始めました。競技車両の爆音に比べれば盛夏の蝉の鳴き声ぐらいなので、それはまあいいのですが、気になったのは信号を守っていたことです。なにしろその交差点は、最長2分赤という長尺もの。しかも彼の前にはたった一台のクルマしか停まっていないのに、ちゃんと後ろに並んでいる。そんな族がどこにいるんだと私は腹が立ってきました。そういえばその国道で、暑い中、渋滞の列にしっかり並んで耐えている2台の族車を見たこともあります(空ぶかしはしていた)。ものすごい違和感でした。これでは、K県にあってはむしろマナーが良い方です。警察に全く相手にされていないのも当然。なんでもそうですが、「中途半端」から得られるものは無く、時間の無駄です。

車検(大規模整備と言った方がふさわしい)が来ました。今回の代車は現行ハスラーで、オーディオ以外はフル装備の2WDターボ車です。前回のスイフトスポーツといい、そこに込められたオーナーに対するメッセージは明確…ですな。
乗ってみての感想です。
まずはシートに座って調整します。残念ながら、納得できるドライビングポジションは見つけられませんでした。アルトワークスでも感じた事なのですが、ペダルに合わせるとハンドルが遠くなりすぎ、ハンドルに合わせるとペダルが近くなりすぎる。私が、想定される中心的ユーザーの体型から外れていたということでしょうか。ハンドルは近めが好み、ということを差し引いても、購入をあきらめるに十分な理由となりました。
走り出しての印象ですが、なかなかパワフルです。アクセルを踏み込んだ瞬間モーターアシストが入り、グイっと、やや乱暴に押し出されます。慣れ(操作)の問題とはいえ、もう少し抑えてほしい気もしますが、4名フル乗車を考慮しての事なのかもしれません。それにこのアシストがあれば、CVTのギクシャク感の軽減にも役立つはず…と思って、動作モニター睨みつつ、なるべくアシストが入らない領域でオンオフしてみたのですが、特にはギクシャクしません。このあたり、よく作りこまれているなあと感心しました。ところで恥ずかしながら最近知ったのですが、CVTにもトルコン(流体?)が併用されているケースがあるそうですね。ここにどのような機構を使うかで変わってくることもあるのでしょうか。
ターボということもあり、速度の乗りも早いです。CVT特有の、びにょーんとした非常に気持ち悪い加速感ですが、速い。足回りは、硬すぎず柔らかすぎずで、無難です。段差でちょっとポコポコ言いますが、乗り心地について、家族から文句が出ることはまずないと思います。さらに、アイドリングストップ状態から、再始動した時の振動の少なさにも驚きました。ボディやエンジン、エンジンマウントなどの設計にこだわりが感じられます。

ジクサー150は電動化いらんよね

クルマの電動化についてここのところ様々な議論がなされていますが、業界のプロの間でさえこれほど意見の相違があるものなのかとちょっと驚いています。完全電動化(燃料電池含みます)確定派の自動車評論家さんでさえ、最近はe-fuelのことを口にするようになってきたところを見ると、それだけ今の時点では判断の難しい問題だということなんでしょう。しかもややこしいことに、今現在多くの自動車メーカーが強化されるCAFÉ規制に間に合わせるため、とりあえず何でもありのクルマ作りを大急ぎで進めているように見えます。このことが、さらに先行きを分かりにくくしているのではないでしょうか。

いずれにせよ、私のような小市民は黙って来るべき時代を迎えるしかないのですが、できることなら誰にとっても恩恵のあるものになってほしいと思います。私はバッテリーの原料となるリチウムやコバルトなどの採掘現場の現状を知りません。どんな人たちが、どんな環境で、どのくらいの報酬で仕事をされているのか。そしてその地域では何が起こっているのか。さらに言えば現在の、規制強化を睨んだ大急ぎのクルマ作りが今後環境に無駄な負荷を与えることになりはしないのか。

欧米の超高級BEVを見るたび、今という時がお金持ちの「お楽しみの時間」で終わらなければいいのだけど、なんて思ったりします。

 

(2021)

笛吹は誰だ 2

前回、私は「マスク付けっぱなし」に感じる疑問を述べました。しかし、私はきれいさっぱり忘れておりましたが、これとはまったく逆に、実は良いこともあるんじゃないかとも思っています。それも、まさに国道沿いの歩道を歩いている時に、です。

タバコ好きで知られる筒井康隆さんは、以前、嫌煙運動(タバコ害の喧伝)は自動車メーカーが裏で糸を引いている、というようなことをおっしゃっていました。まあ、半分冗談だったのかもしれませんが、言わんとしている事は分かります。それに関して言えば今、日野自動車の不正が大きな問題になっていますが、会社の存続が危ぶまれるほど叩かれているところを見ると、余程ひどいことをしたんでしょうね。でも、それならば、です。
私の住む町を走る路線バスの話なんですが、たまにものすごい黒煙をまき散らしながら走っている車両を見かけるのです。しかも平坦な道路で。運転の仕方にもよるのでしょうけど、あんなの、どうやって車検を通っているのかさっぱり分からない。少なくとも、最新の技術で何とかしようとはしていた日野が存続の危機に立たされ、あのような毒ガス発生装置を平気で走らせる地方の行政は、お咎めなし。誰も文句を言わない。「いやいや、日野の隠ぺい体質がいかんのだ」…おっしゃる通りです。ちなみにそのバス、なぜか、暗い早朝などによく走ってました(最近は見ないので、対策されたと信じたい)。
排気ガスだけではありません。今世界中で何億台のクルマ(バイク)が走っているのかは知りませんが、毎日発生しているタイヤのチビリカスも、ある程度は大気中に舞っているはずです。もっと言えばクルマ関係以外でも、見えないだけで、「恐ろしく危険なもの」がいっぱい飛び回っています。

ということから、「マスク付けっぱなし」も悪い事ばかりではないように思うのです。そしてもしコロナ禍後も、それを続けるとすれば、肺がんの罹患率の推移を調査研究すべきではないでしょうか。なぜなら、この件で最も重要なこと、本質は、「大気汚染による人体への影響を、最小限にとどめる」ことだったはずだからです。

 

笛吹は誰だ

何度も書いてきたように、K県は完全なるクルマ社会です。大阪だと、歩いたり自転車で移動していた人達が、全員クルマに乗っているようなものです。なので、歩道を歩いていても滅多に人とすれ違うことはありません。私の住む町は、K県でも比較的人口が多い所なのですが、それでも出会うのは30分歩いて1、2人でしょうか。そして、皆マスクを付けています。

私は、ずっと前から不思議でしょうがないのです。国道沿いの、こんな広い歩道を一人で歩いていて、なぜマスクを付ける必要があるのかと。すれ違ってもその間隔は1mどころではありません。しかも、ご近所さんでない限り、互いに黙ってすれ違うだけです。風も吹いている。法的な規制があるわけでもない。冬なら分かります。ウィルスとは関係ない理由がある人もいるでしょう。しかしこの暑い中、感染対策と言うならば、いったいどういう「考え」によるものなのでしょうか。すれ違う時の鼻息が問題なのでしょうか。だったらどんな厳重な対策を行おうと、ハナから感染を防ぐことなど不可能です。また、一人でマスクを付けたままクルマを運転している人を見かけると、暑苦しくて運転に集中できていないのでは、と気になります。「慣れた」と言うなら、マスクを付けていない時と同等の運転ができるようになった、という意味でなければ、実は危険なのです。

日常的にマスクを付ければ、普通に考えて、同じ時間あたりの酸素摂取量は減るでしょう。そのことが長期的に見て、日本人の脳にどのような影響を与えるのか、私は非常に心配しています。またもや考えすぎでしょうか。でしょうね。ただ、私のスタンスはこうです。権力のある人たちが「さあこの列車に乗りなさい。乗り遅れちゃだめです」と国民のケツをたたき、皆が一斉に同じ方向に動き出したときは、駅のホームで、しばらく様子を見ます。怒られたり、「乗り遅れて失敗した」場合は、あきらめるしかありません。しかし時に、2台目、3台目と続くうち、列車に乗る人の数が減ってくることもあります。「違っていた」と言って帰ってくる人があらわれることもある。帰りたくとも帰れない人も。要は、考えるチャンスは誰にでもある、ということです。結果がどうなるにしろ、いっとん立ち止まって考えてみても損はありません。勉強もできず、子供のころからさんざんアホぼん呼ばわりされてきた私は、特にそう思うのです。今。

お弁当ついてますよ

 

白いクーペと、夏の終わり

ラジオで地元のFMを聴いていると、聞き覚えのある古い外国の曲が流れてきました。かつてクルマのCMで使われていた曲です。そういえば先日、愛車を運転中に久しぶりに稲垣潤一さんの歌を聴いていたのですが、この時はヨコハマタイヤのCMを思い出しました。

何十年も昔の話です。当時のクルマやタイヤのCMは、ドラマチックというか、何とも言えない奥深さを持ったものが多かったような気がします。そこには、必ずと言っていいほど誰かの歌声がありました。そして、モータースポーツの香り。夢のような時代でした。

そんな時代を過ごしてきた私が、最も好きなクルマのCMは何だろうと考えた時、真っ先に浮かんでくるのが80年代に放送されたスターレット(KP61)のCMです。舞台はノルウェートロールティーゲン(悪魔のはしご段)。操るはオベ・アンダーソン!曲がりくねったダートを、豪快に砂煙を上げながら駆け抜けるスターレット。今思い出しても鳥肌が立ちます。実際あれがどのぐらいチューンされた車両だったのかは私には分かりませんが、少なくとも外見はピカピカのノーマルスターレットが見せるラリー本番さながらの走りは、もう本当に最高でした。今でもネットで観られるのかな。

後年アレに近いものを観たのは、TDKビデオ「オーナーズバイブル インプレッサWRX」で、コリン・マクレー、桜井幸彦の両氏がノーマルインプレッサでの激走を披露してくれます。特に桜井さんの、フロント荷重を重視した走りが興味深かったですね。

今、九州には勢力の強い台風が向かってきており、私の住む町でも「壊れたピアノ」のような雨が降り始めました。大きな被害をもたらさないことを祈るばかりです。