考え方 8

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・同乗者について

 誰も寝てはならぬ
 自分の運転を客観的に見ることは大切です。普段から何も考えずに運転していると、誰かを乗せた時に不快な思いをさせてしまう恐れがあります。不快な思いとはつまり、恐怖心であったり、車酔いという形で現れたりするものです。特にドライバーが知らない人だとその傾向は強まり、そのドライバーの運転リズムを掴むまで、助手席にいながらブレーキを踏むような動作をしてしまう人もいます。
 私は同乗者がいる時は、その人が居眠りを始めるような運転を心がけます。早朝や仕事帰りで疲れているような場合は別として、無意識下の恐怖心が和らがなければ、なかなか居眠りはできません。そこで、できるだけ一定のリズムを持った穏やかな運転を行います。「子守歌運転」とでも言いましょうか。そうして、さっきまでしゃべっていた人がいつの間にかウトウトし始めたら、悪くない運転をしていると考えてよいでしょう。
 なんですが。助手席側から見るとそう簡単に居眠りしてよいわけではないのが難しいところなんですなこれが。
 その昔、ある現場を終えた私は年下の同僚と二人でクルマに乗って帰社することになりました。帰り道の阪神高速神戸線は渋滞が予想されたため、現場に向かう時も助手席に座っていた私は運転を申し出たのですが、その同僚は私の申し出を断り、帰路も運転をしてくれました。そこまでは良かったのですが、案の定渋滞にはまった時に、私はつい居眠りをしてしまったのです。やがて会社に帰り着いたとき、その同僚は猛烈に機嫌が悪くなっておりました。
 そもそも「助手席」というぐらいですので、居眠りするよりは、やはりドライバーにある程度協力する必要があると言えばあるのです。左側方の確認とか、それこそ居眠り運転していないか監視する、などです。しかし何といっても、寝てはいけない一番面倒な理由は感情的なものです。「俺が運転してやっているのに居眠りなんかしやがって」というアレですね。実は最近まで知らなかったのですが、同乗者が居眠りすると怒る人が結構多い、というより居眠り上等などと考えている私のような人間の方が少数派らしいのです。だからやっぱり助手席に乗っている時は起きている方が無難なのでしょうね。でも私はやっぱり怒る気にはなりません。だって子供のころを思い出してください。両親と出かけて一日遊んだ後、帰りのクルマの中で気持ちよく居眠りして、はっと気が付けば家に帰り着いていた、なんてこと、ありませんでしたか。
 それは、幸せな記憶だと私は思うのです。