考え方 4

 

「予測されやすい」運転とは

  それは「交通ルールに則った運転」です。なぜかというとそれを皆が知っているからです。ウインカーを出せば「右(左)に曲がるのだな」と分かるし、道幅が同じで信号のない交差点では左方優先、上り坂の頂上では追い越し禁止だけど、そもそもそんな所で追い越しするような奴いないだろう…といった具合です。
 しかし、ここには落とし穴があります。ルールは統一されていないと意味がないのです。私はK県に住むようになってから、それをいやというほど思い知りました。例を挙げるときりがありませんが、K県の皆さんの運転はもはや「ビルとテッドの地獄旅行」が純文学作品に見えるほどなのであります。ところが皆がそんな調子なので、ある意味統一されているというカオス状態。毎日が「そんなドライビングがあったのか!」と常に新鮮な驚きに満ちています。
 要は、こういう状況で真面目に交通規則を守るとかえって危険を招くということですね。
 それはともかく、「予測される」ためにできることはまだあります。

 

一定の運転

  そんな言葉があるのか分かりませんが、大雑把に言うと自分の運転をばらつかせないようにする、ということです。速度、右左折の動き、加減速のタイミングなどです。
 ここで高速道路(都市高速以外の)を思い浮かべてください。そのうち走る機会があると思いますが、どんなイメージをお持ちですか。基本的には走行車線を走る限り、一般道に比べて飛び出しの危険も少なく比較的気楽に走れるところではあります。ところがゆっくり走っていても、意外と腕を試される場でもあるのです。
 例えばクルーズコントロールを使って自分のクルマの速度を完全に固定して走ってみると、先行車との車間距離が大きく伸び縮みするのが分かります。わずかな傾斜やカーブの度に、自分では気づかず車速が上下しているのです。そこで、クルーズコントロールに頼らず自分の右足だけで常に一定の速度で走るよう心がけてみましょう。やってみると結構難しくて、面白いですよ。
 これを実行するために何が大切かというと、まずスピードメーターを見ることです。これは非常に重要なことで、高速に限らず常にスピードメーターを見る癖をつけることで(前も見て下さい)、加速、減速、定速走行等あらゆる場面で自分の運転のチェックができます。ターボ車であればブースト計(針のタイプ)で自分がどのようなアクセルワークを行っているのかがはっきり分かり、これも良いトレーニングになります。
 このように、あらゆる面で「一定」を心がけてみましょう。

 

何のためにそれを行うのか

 もう一つの目的、クルマを積極的にコントロールする、という意識を持つことが大切だからです。
 どんなに便利で扱いやすくなったとはいえ、クルマは冷蔵庫や電子レンジではありません。漫然と運転していては危険です。すぐに何かが起きないとしても、「見えない(まだ起こっていない)危険」を生じます。それを内包したクルマどうしが複数台接近する時、事故は発生します。
 これは自分自身にも言い聞かせなければならないことですが…

 

※ここまで読まれた方がもしおられたとしたらお気づきでしょうが、自動化が進んだ結果、上に書いたことを既にクルマが肩代わりし始めています。これは自然な技術の流れというより、必要に迫られてのことであると私は思います。だから自動車メーカーのトップがドライビングプレジャーを重視する人だと、少しばかり心理的葛藤に悩まされることでしょう。会社が巨大で、社会的責任が大きくなるほどに。

私はただ、「クルマを操る喜び」を今のうちに一人でも多くの方に知ってもらいたい、と考えるだけです。